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マンションで雨漏りが起こったらどう対処すべき?

雨漏り

ビルやマンション、アパートを所有・管理するオーナー様にとって、「雨漏り」の発生は、最も緊急性が高く、そして頭の痛い問題の一つではないでしょうか。

 

雨漏りは、単に居室が濡れるというだけでなく、放置すれば建物の構造躯体を腐食させ、資産価値を著しく低下させる原因となります。

 

さらには、カビの発生による入居者の健康被害や、漏電による火災リスク、他の部屋への延焼被害など、経営を揺るしかねない、様々な重大なトラブルの引き金にもなり得るのです。

入居者から雨漏りの一報を受けたとき、いかに迅速に、そして的確に初期対応できるか。

それが、被害の拡大を防ぎ、入居者との信頼関係を維持し、そして最終的な修繕コストを抑えるための、最も重要な鍵となります。

 

この記事では、そんなマンションの雨漏りという緊急事態に直面したオーナー様や管理者様のために、発生時にまず何をすべきか、その費用負担の考え方、そして最も重要な「雨漏りを未然に防ぐための対策」まで、建物のプロフェッショナルとして、そのすべてを分かりやすく解説していきます。

マンションで雨漏りが起こったらすべきこと

入居者から雨漏りの連絡を受けたら、パニックにならず、落ち着いて行動することが大切です。

被害を最小限に食い止めるため、以下の4つのステップを、入居者の方にも伝えながら、迅速に進めましょう。

応急処置をする

まず最優先すべきは、室内への被害拡大を防ぐことです。

天井から水滴が落ちてきている場合は、その真下にバケツや大きめのゴミ箱などを置き、床が濡れるのを防ぎます。

その際、バケツの中に雑巾などを入れておくと、水滴が跳ねる音を軽減できます。

壁を伝って水が流れている場合は、壁にタオルを押し当てて水を吸い取り、その下にレジャーシートなどを敷いて、水が床に広がらないように誘導します。

大家さんや管理会社に連絡する

入居者の方には、応急処置と並行して、すぐにオーナー様や管理会社へ連絡するように伝えてください。

オーナー様自身が第一報を受けた場合は、管理を委託している会社があれば、速やかに情報を共有します。

いつから、どこで、どの程度の雨漏りが起きているのか、状況を正確に把握することが、その後の対応をスムーズにします。

雨漏り箇所を撮影する

雨漏りの状況は、原因を特定し、後の修理業者とのやり取りや、火災保険の申請などを行う上で、非常に重要な「証拠」となります。

 

水が滴っている様子や、天井や壁のシミが広がっていく過程などを、スマートフォンなどで写真や動画に撮影しておくよう、入居者の方にお願いしましょう。

可能であれば、オーナー様や管理者様自身も、現場に駆けつけて状況を確認し、記録しておくことが望ましいです。

契約書や保険を確認する

雨漏りの原因や箇所によって、その修理費用の負担者が誰になるかは変わってきます。

賃貸借契約書や、マンションの管理規約などを確認し、雨漏りが発生した箇所が「専有部分」なのか「共用部分」なのか、修繕義務は誰にあるのかを、あらかじめ確認しておきましょう。

 

また、建物に火災保険をかけている場合は、保険証券を手元に準備し、補償内容を確認します。

台風などの自然災害が原因である場合は、保険が適用できる可能性があります。

マンションで雨漏りが起こったときの注意点

緊急時に、良かれと思って行った行動が、かえって状況を悪化させてしまうこともあります。

初期対応における、2つの重要な注意点を紹介します。

雨漏りか水漏れかを確認する

天井や壁からの水漏れが、必ずしも「雨漏り」とは限りません。

上の階の住戸の、給排水管の破損や、お風呂・キッチンの水栓の故障などが原因で発生する「水漏れ」の可能性も考えられます。

 

見分けるポイントは、天候との関連性です。

雨が降っている時や、降った後だけ水漏れが発生する場合は「雨漏り」の可能性が高いです。

 

一方で、天候に関わらず、常に水が漏れている、あるいは水の音が聞こえる、といった場合は、上階からの「水漏れ」が疑われます。

原因によって、対応すべき相手や責任の所在が変わってくるため、この切り分けは非常に重要です。

DIYで修理するのは避ける

雨漏りの原因特定は、プロの専門家でも難しい、非常に高度な調査が必要です。

 

「このひび割れが原因だろう」と安易に判断し、市販のコーキング材などで塞いでしまうと、水の出口を塞いでしまい、かえって壁の内部で水が滞留し、構造体の腐食を深刻化させてしまう危険性があります。

 

また、屋上や高所での作業は、転落などの重大な事故に繋がるリスクも伴います。

応急処置はあくまで室内での被害拡大を防ぐ程度に留め、原因の特定と本格的な修理は、必ず専門の業者に依頼してください。

マンションの雨漏り修理費用は誰が負担する?

オーナー様にとって、最も気になるのが「修理費用の負担」の問題でしょう。

責任の所在は、「どこで」「どちらの建物で」「何が原因で」雨漏りが発生したかによって、明確に分けられます。

雨漏り箇所は共有部か専有部か

マンションは、個人の所有物である「専有部分」と、居住者全員で共有する「共用部分」で構成されています。

  • 専有部分: 住戸の内部。壁紙や床、天井の仕上げ材、玄関ドアの内側、窓ガラスなど。
  • 共用部分: 建物の構造を支える部分。屋上、外壁、廊下、階段、そして各住戸を隔てるコンクリートの壁や床、窓サッシ、バルコニーの床など。

雨漏りの原因が、外壁のひび割れや、屋上の防水層の劣化といった「共用部分」の不具合にある場合は、その修繕義務はオーナー様または管理組合にあります。一方、入居者が設置したエアコンの配管穴の隙間など、「専有部分」が原因である場合は、その入居者(占有者)が責任を負うことになります。

分譲マンションか賃貸マンションか

建物の形態によっても、責任の主体が変わります。

  • 分譲マンションの場合: 共用部分の維持管理責任は、区分所有者全員で構成される「管理組合」にあります。したがって、共用部分が原因の雨漏り修理費用は、管理組合が積み立てている「修繕積立金」から支出されるのが一般的です。
  • 賃貸マンション・アパートの場合: 建物全体の所有者は「オーナー様(大家)」です。そのため、共用部分が原因の雨漏り修理費用は、オーナー様が負担することになります。

原因は居住者か老朽化か

雨漏りの原因が、経年による建物の自然な「老朽化」である場合は、前述の通り、建物の所有者・管理者であるオーナー様や管理組合が修繕の責任を負います。

 

しかし、原因が入居者の「故意・過失」にある場合は、話が別です。

例えば、「ベランダの排水溝を詰まらせたまま放置し、下の階に水が漏れてしまった」「窓を開けっ放しにして外出したため、室内に雨が吹き込み、階下に被害が及んだ」といったケースです。この場合は、原因を作った入居者自身が、修理費用や損害賠償の責任を負うことになります。

雨漏り修理業者への依頼方法

雨漏りの原因調査と修理は、高度な専門知識と技術を要するため、信頼できる専門業者に依頼することが不可欠です。

 

基本的には、建物の所有者・管理者であるオーナー様や管理会社、あるいは管理組合が、業者を選定し、修理を依頼することになります。

入居者の方が、個人的に業者を手配してしまうと、後の費用負担などでトラブルになる可能性があるため、必ず管理者を通じて依頼するよう、事前にルールを明確にしておくことが重要です。

 

業者を選ぶ際は、1社だけでなく、複数の業者から相見積もりを取り、診断内容や修理方法、見積金額を比較検討することをお勧めします。

その際、雨漏りの原因を特定するための、散水調査や赤外線調査といった、科学的な調査に対応できる業者を選ぶと、より確実な修理が期待できます。

マンションの雨漏り修理にかかる期間

雨漏りの修理にかかる期間は、その原因や規模によって大きく異なります。

 

原因を特定するための調査だけで、数日から1週間程度かかることもあります。

部分的なシーリングの補修や、小さなひび割れの補修といった小規模な工事であれば、1日~数日で完了します。

 

しかし、屋上全体の防水工事や、外壁全体の塗装・補修工事といった大規模な修繕になると、足場の設置・解体も含め、1ヶ月から3ヶ月以上の期間を要することもあります。

工事期間中は、騒音や臭い、作業員の出入りなどで、入居者の生活にも影響が及びます。

事前に、工事のスケジュールや内容を、入居者全員に丁寧に説明し、理解と協力を得ることが、トラブルを防ぐ上で非常に重要です。

マンションの雨漏りは定期点検で防げる

ここまで雨漏りが発生した後の対処法について解説してきましたが、オーナー様にとって最も重要なのは、「雨漏りを未然に防ぐ」ことです。

 

雨漏りは、発生してから対処すると、原因特定と修繕に多大なコストがかかるだけでなく、建物の構造体に深刻なダメージを与え、資産価値を大きく毀損してしまいます。

これを防ぐ唯一にして最善の方法が、専門家による「定期的な建物診断」と、それに基づいた「計画的な修繕」です。

 

建物の外壁や屋上は、常に紫外線や風雨にさらされ、時間と共に必ず劣化していきます。

一般的に、10年~15年に一度は、大規模修繕工事(屋上防水工事、外壁塗装・補修工事、シーリング打ち替え工事など)を行うことが推奨されています。

劣化が深刻化する前に、予防的にメンテナンスを行うこと。

それが、結果的に建物の寿命を延ばし、長期的な修繕コストを抑え、そして何より、入居者が安心して暮らせる環境を守るための、オーナー様に課せられた最も重要な責務といえるでしょう。

マンションの雨漏りは定期的なメンテナンスで防ごう

雨漏りは、建物が発している「SOS」のサインです。

そのサインを見逃さず、早期に対処すること、そしてサインが出る前に予防的なメンテナンスを行うことが、オーナー様の大切な資産と、入居者の安全な暮らしを守ることに繋がります。

 

カメダ総合塗装は、創業以来、数多くのビル・マンションの大規模修繕工事を手がけてきた、防水・塗装工事の専門家集団です。

 

株式会社カメダ総合塗装ですと、雨漏りの原因を的確に突き止める高度な診断技術と、建物の状態に合わせた最適な修繕プランのご提案、そして長期的な視点に立った計画的なメンテナンス計画の策定まで、オーナー様のあらゆるお悩みに、ワンストップでお応えします。

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