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ガルバリウム鋼板ってどんな素材?人気の理由は?

考える人

モダンでシャープな佇まいの住宅や、スタイリッシュなデザインの商業施設。近年、街中でそんな洗練された印象の建物を目にする機会が増えたと感じませんか。

 

その美しい外観を実現している素材の多くが、今回ご紹介する「ガルバリウム鋼板」です。

 

この記事では、今最も注目されている建材の一つであるガルバリウム鋼板の全てについて、塗装・建築のプロフェッショナルとして、その基本的な知識からメリット・デメリット、そしてその性能を最大限に引き出し長持ちさせるための秘訣まで、分かりやすく解説していきます。

 

ガルバリウム鋼板とは

ガルバリウム鋼板とは、一言でいえばアルミニウム・亜鉛・シリコンで構成される合金によってメッキ処理が施された鋼板(鉄の板)のことです。

 

そのメッキ層の最適な合金比率は「アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%」とされており、この絶妙なバランスがガルバリウム鋼板の優れた性能を生み出しています。

 

具体的には、アルミニウムが持つ強力な「耐食性(錆びにくさ)」と、亜鉛が持つ「犠牲防食機能(傷がついても鉄より先に亜鉛が溶け出して鉄の錆を防ぐ性質)」が組み合わさることで、お互いの長所を最大限に引き出し短所を補い合い、長期にわたって鋼板を錆から守り続けます。

 

かつて金属建材の主流であったトタン(亜鉛メッキ鋼板)に比べて、3倍から6倍もの高い防錆性を持つといわれており、その優れた耐久性から屋根材や外壁材として急速に普及しました。

ガルバリウム鋼板のシェア

そのモダンなデザイン性と高い耐久性から、ガルバリウム鋼板は近年の建築業界においてそのシェアを着実に拡大しています。

 

特にデザイン性を重視する建築家が設計する住宅や商業施設での採用が目立ちますが、最近では一般的な戸建て住宅においても、屋根材・外壁材として標準的に採用するハウスメーカーが増えています。

 

窯業系サイディングが依然として外壁材の大きなシェアを占めてはいますが、ガルバリウム鋼板は特に耐久性やメンテナンス性を重視するオーナー様を中心に選択されることが多く、その人気は今後もますます高まっていくことが予想されます。

ガルバリウム鋼板のメリット

ガルバリウム鋼板が多くの建築物で選ばれるのには、他の建材にはない多くの優れたメリットがあるからです。

サビに強い

最大のメリットは「防錆性」です。

前述の通りアルミニウムの不動態皮膜(非常に緻密で安定した保護膜)が鋼板の表面を長期にわたって保護し、さらに万が一表面に傷がついても亜鉛が鉄よりも先にイオン化して溶け出す「犠牲防食作用」によって鋼板本体の錆を防ぎます。

 

このアルミニウムと亜鉛の二重のガードによって、ガルバリウム鋼板は非常に高い耐久性を実現しているのです。

 

沿岸部などの塩害が懸念される地域でも、その性能を十分に発揮します。

軽い

ガルバリウム鋼板は非常に「軽量」であることも大きなメリットです。

 

その重量は日本瓦の約10分の1、スレート屋根と比べても約4分の1程度しかありません。

 

建物は重ければ重いほど地震の際の揺れが大きくなります。

 

屋根や外壁が軽量であることは建物全体の重心を低くし、地震の揺れに対する建物の負担を大幅に軽減します。

 

つまりガルバリウム鋼板の採用は、建物の「耐震性向上」に直接的に貢献するのです。

 

また既存の外壁や屋根の上から新しい建材を被せる「カバー工法」によるリフォームにおいても、建物への重量負担が少ないため最適な素材として広く用いられています。

加工しやすい

薄い鋼板であるため様々な形状に加工しやすいという特徴も持っています。

 

複雑な形状の屋根やデザイン性の高い曲面の壁などにも柔軟に対応することが可能です。

 

この加工性の高さが建築家やデザイナーの創造性を刺激し、シャープでエッジの効いたモダンな建築デザインを実現することを可能にしています。

 

金属ならではのソリッドで洗練された質感が、建物の外観をスタイリッシュに引き締めてくれます。

ひび割れしない

窯業系サイディングやモルタル壁といったセメント系の外壁材は、乾燥収縮や地震の揺れによってひび割れ(クラック)が発生するリスクが常にあります。

 

しかし金属であるガルバリウム鋼板は、当然ながら素材自体がひび割れを起こすことはありません。

 

ひび割れからの雨水浸入の心配がないという点は、建物の防水性を長期にわたって維持する上で非常に大きなアドバンテージといえるでしょう。

水はけが良い

ガルバリウム鋼板の表面は非常に滑らかであるため、雨水が滞留することなくスムーズに流れ落ちます。

 

これにより壁面が長時間湿った状態になるのを防ぎ、カビやコケの発生を抑制する効果が期待できます。

 

また水を吸い込むことがないため、寒冷地で外壁材内部の水分が凍結・膨張し素材を破壊してしまう「凍害」のリスクもほとんどありません。

環境に優しい

ガルバリウム鋼板はリサイクル性に非常に優れた環境配慮型の建材です。

 

将来建物が解体される際には、資源として再利用することが可能です。

またその高い耐久性により塗り替えや張り替えといったメンテナンスのサイクルを長くすることができるため、廃材の発生を抑制することにも繋がります。

 

近年世界的に高まっているSDGs(持続可能な開発目標)への関心という観点からも、ガルバリウム鋼板は時代に適合した建材であるといえます。

耐震性が高い

前述の通りガルバリウム鋼板は非常に軽量であるため、建物全体への負担が少なく地震の揺れに対して有利に働きます。

 

特に屋根材として採用した場合の効果は絶大です。

 

建物の最上部である屋根が軽くなることで建物の重心が下がり、地震の際の揺れの幅を小さくすることができます。

 

日本の伝統的な瓦屋根から軽量なガルバリウム鋼板の屋根へ葺き替えることは、建物の耐震性能を大きく向上させる非常に有効な防災対策なのです。

ガルバリウム鋼板のデメリット

多くの優れたメリットを持つガルバリウム鋼板ですが、採用する上で知っておくべきいくつかのデメリットや注意点も存在します。

ほかの素材よりも費用が高い

ガルバリウム鋼板は高性能な建材であるため、その材料費は最も普及している窯業系サイディングなどに比べて高価になる傾向があります。

 

また金属板を現場で加工し取り付けるには専門的な知識と技術が必要となるため、施工費も割高になる場合があります。

 

ただしその高い耐久性によってメンテナンスサイクルを長くすることができるため、将来的な塗り替え費用なども含めた長期的な視点での「ライフサイクルコスト」で考えれば、決してコストパフォーマンスが悪いというわけではありません。

衝撃に弱い

薄い鋼板であるため、硬いものが強く当たるとへこみや傷がつきやすいという弱点があります。

 

例えば子供がボールをぶつけてしまったり、あるいは自転車を倒してしまったりといった日常的な不注意でも、へこみができてしまう可能性があります。

 

一度へこんでしまうと元に戻すのは非常に困難です。

 

また表面のメッキ層や塗膜に深い傷がつくと、そこから錆が発生する原因ともなります。

 

人が頻繁に通る1階部分の外壁など、衝撃を受ける可能性が高い場所での使用には注意が必要です。

選べるデザインが少ない

ガルバリウム鋼板のデザインは、金属ならではのシャープでモダンな直線的なものが中心となります。

 

窯業系サイディングのようにレンガ調やタイル調、あるいは温かみのある塗り壁調といった多彩なデザインのバリエーションはあまりありません。

 

そのためヨーロピアン風や南仏プロヴァンス風といった可愛らしい、あるいは重厚なデザインの家を目指す場合には、そのイメージと合わない可能性があります。

 

良くも悪くもそのデザインは、都会的でスタイリッシュなものに限定されるといえるでしょう。

断熱性・遮音性が低い

金属は熱を伝えやすく、また音を反響させやすいという性質を持っています。

 

そのためガルバリウム鋼板そのものには、断熱性や遮音性はほとんど期待できません。

 

この弱点を補うため現在のガルバリウム鋼板製品の多くは、板の裏側にウレタンフォームなどの断熱材が一体となった「断熱材一体型」のものが主流となっています。

 

また屋根材として使用する場合は雨音が室内に響きやすいため、制振材を併用するなどの防音対策が不可欠となります。

 

施工する業者の知識と技術が快適性を大きく左右するポイントです。

ガルバリウム鋼板の屋根の張り方

屋根材としてガルバリウム鋼板を使用する場合、その張り方(葺き方)には主に2つの方法があり、それぞれ見た目の印象が大きく異なります。

横葺き

その名の通りガルバリウム鋼板を地面と平行になるように横方向に張っていく工法です。

 

屋根の軒先から頂上に向かって瓦のように重ねながら葺き上げていきます。

横のラインが強調されるため、落ち着きのある安定感のある外観に仕上がります。

 

和風、洋風を問わず様々なデザインの住宅に調和しやすいのが特徴です。

 

また緩やかな勾配の屋根にも対応できるという施工上のメリットもあります。

縦葺き

屋根の頂上部から軒先に向かって縦方向に長い板金の板を張っていく工法です。

 

「縦ハゼ葺き」や「立平葺き」とも呼ばれます。 縦のラインが強調されるため、非常にシャープですっきりとしたモダンな印象の外観になります。

 

また雨水が継ぎ目に滞留することなくスムーズに流れ落ちるため、水はけが非常に良く雨漏りのリスクが低いという機能的なメリットもあります。

 

急な勾配の屋根にも美しく収まり、建物をスタイリッシュに見せることができます。

ガルバリウム鋼板の外壁の張り方

外壁材として使用する場合も、屋根と同様に張り方によって建物の印象を大きく変えることができます。

横張り

サイディングの最も一般的な張り方であり、ガルバリウム鋼板でも同様に横方向に板を張っていく工法です。

 

水平のラインが安定感と落ち着きのある印象を与え、幅広いデザインの住宅にマッチします。

 

最もスタンダードで飽きのこない張り方といえるでしょう。

縦張り

地面に対して垂直に板を張っていく工法です。

 

縦のラインが建物をより高くそしてスマートに見せる効果があり、シャープで都会的な外観を創り出します。

 

また雨水や汚れが縦のラインに沿って流れ落ちやすいため、汚れが付着しにくいという機能的なメリットもあります。

 

デザイン性の高いモダンな住宅で特に人気のある張り方です。

ガルバリウム鋼板を長持ちさせる方法

高い耐久性を誇るガルバリウム鋼板ですが、その性能を長期にわたって維持するためには適切なメンテナンスが不可欠です。

定期的に洗浄する

ガルバリウム鋼板の表面に土埃や砂、あるいは大気中の汚染物質などが付着したままになっていると、そこが水分を保持し錆の発生原因となる可能性があります。

 

年に1~2回程度ホースで水をかけるなどして表面の汚れを洗い流してあげるだけでも、美観を保ち耐久性を維持する上で非常に効果的です。

 

ただし高圧洗浄機を強い水圧で直接当てると、表面の塗膜を傷つけてしまう恐れがあるため注意が必要です。

塗り替えを行う

ガルバリウム鋼板本体は非常に高い耐久性を持ちますが、その表面を保護している「塗膜」は経年によって必ず劣化していきます。

 

一般的に10年~20年を経過し、色褪せやチョーキング現象(手で触ると白い粉が付く状態)が見られるようになったら、それは塗り替えを検討すべきサインです。

 

適切な時期に塗り替えを行うことで防水機能を回復させ、鋼板本体を錆から守り建物の寿命をさらに延ばすことができます。

葺き替え・張り替えを行う

台風などの大きな衝撃で鋼板が大きく変形してしまったり、あるいはメンテナンスを怠ったことで錆が広範囲に発生してしまったりした場合には、塗装だけでは対処できず屋根材や外壁材そのものを交換する「葺き替え」や「張り替え」といった大規模な工事が必要になります。

 

こうなる前に定期的な点検と早めのメンテナンスを心がけることが、結果的にトータルの修繕コストを抑えることに繋がるのです。

ガルバリウム鋼板が住まいに与えるメリットは様々ある

今回は、近年屋根材・外壁材として絶大な人気を誇る「ガルバリウム鋼板」について、その特徴からメリット・デメリット、そして長持ちさせるためのメンテナンス方法まで網羅的に解説しました。

 

ガルバリウム鋼板は間違いなく、皆様の大切な資産である建物をより強く、より美しく、そしてよりスタイリッシュに演出してくれる素晴らしいパートナーです。

 

株式会社カメダ総合塗装は、ガルバリウム鋼板の塗装メンテナンスに関する豊富な実績と専門的な知識を有しています。

建物の状態をプロの目で正確に診断し、その性能を最大限に引き出す最適な塗り替えプランをご提案させていただきます。

 

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