ベランダで雨漏りが起こる原因は?どう対処すればよい?

マンションやアパートといった物件を所有・管理するオーナー様にとって、この「ベランダからの雨漏り」は、決して他人事ではない非常に深刻なトラブルの一つです。
「たかがベランダの雨漏り」と軽視してはいけません。 その一滴の水漏れは、建物の構造体を内側から静かに蝕み、資産価値を著しく低下させるだけでなく、カビの発生による入居者様の健康被害や、漏電による火災リスクといった、より重大な二次被害を引き起こす危険なサインなのです。
この記事では、そんな物件オーナー様を悩ませるベランダの雨漏りについて、なぜ発生するのかという根本的な原因から、放置した場合の深刻なリスク、そしていざという時にどのように対処すれば良いのかまで、塗装・防水工事のプロフェッショナルとして、その全てを分かりやすく徹底的に解説していきます。
ベランダで雨漏りが起こる原因
ベランダの雨漏りは、実に様々な要因が複雑に絡み合って発生します。原因を正確に特定することが、適切な修理への第一歩となります。
外壁の破損
ベランダの床だけでなく、それに隣接する「外壁」の劣化も雨漏りの主要な原因となります。
長年の紫外線や風雨の影響で外壁の塗膜が劣化し、そこに髪の毛のような細いひび割れ(ヘアクラック)やより深刻な構造クラックが発生すると、その亀裂から雨水が壁の内部へとやすやすと侵入してしまいます。
そして壁の内部を伝って、階下の天井や壁にシミとなって現れるのです。特にベランダの手すりを壁に固定しているボルトの周りなどは、ひび割れが発生しやすく注意が必要なポイントです。
笠木の破損
「笠木(かさぎ)」とは、ベランダの腰壁や手すりの一番上の部分に被せてある、金属製の仕上げ材のことです。
これは壁の内部に雨水が浸入するのを防ぐ「蓋」のような、非常に重要な役割を担っています。
この笠木が経年劣化で錆びたり、あるいは台風などの強風で浮き上がってしまったりすると、その隙間から雨水が壁の内部へ直接流れ込んでしまいます。
普段あまり意識することのない部分ですが、雨漏りの原因箇所として非常に多い、見逃せないポイントです。
シーリングの破損
外壁材の継ぎ目や窓サッシと壁の隙間、そして笠木のジョイント部分などを埋めているゴム状の材料が「シーリング(コーキング)」です。
これは建物の防水における「最後の砦」ともいえる重要な部材です。
しかしこのシーリングは紫外線に非常に弱く、5年から10年程度で硬化し、ひび割れや肉痩せ、剥離といった劣化症状が現れます。
この劣化したシーリングの隙間は、雨水にとって格好の侵入口となります。
ベランダ周りは特にこうした部材の取り合いが複雑なため、シーリングの劣化が雨漏りに直結しやすい場所といえます。
排水溝の不具合
ベランダの床には、雨水を外部へ排出するための「排水溝(ドレン)」が必ず設置されています。
この排水溝に落ち葉やゴミ、泥などが詰まってしまうと、雨水が正常に排出されずベランダの床がプールのようになってしまいます。
そして行き場のなくなった水が、防水層のわずかな隙間やサッシの下などから建物内部へと浸入してしまうのです。
また排水溝の周辺は水が溜まりやすく、防水層の劣化が特に進行しやすい要注意箇所でもあります。
施工不良
これは非常に残念なことですが、新築時や前回の修繕工事の際の「施工不良」が、何年も経ってから雨漏りとして現れるケースも少なくありません。
例えば防水層の施工に手抜きがあったり、あるいはシーリングの充填量が不足していたりといった、専門家でなければ見抜くことのできない初期の施工ミスが原因となっている場合です。
こうしたケースでは原因の特定が非常に難しく、また責任の所在をめぐってトラブルに発展することもあります。
防水層のひび割れ
ベランダの床の表面は、FRP防水やウレタン防水といった塗膜による「防水層」で保護されています。
この防水層が長年の紫外線や歩行による摩耗で劣化し、ひび割れたり剥がれたりすると、その防水機能は失われてしまいます。
防水層が破断した箇所から雨水はコンクリートの下地へと直接浸透していき、階下の天井に雨漏りを引き起こします。
床の表面に色あせやひび割れ、あるいは水たまりができるようになったら、それは防水層の寿命が近づいている危険なサインです。
ベランダの雨漏りの二次被害
ベランダの雨漏りを「まだポタポタと落ちてくる程度だから大丈夫」と甘く見て放置してしまうと、建物全体を蝕む深刻な「二次被害」へと発展していきます。
だからこそ専門家として、私たちは早急な修理を強くお勧めするのです。
シミが発生する
まず最も分かりやすく、そして初期に現れるのが、雨漏り箇所の天井や壁の「シミ」です。
初めは小さな薄いシミでも、放置すれば徐々に大きく、そして黒っぽく広がっていきます。
このシミは単に見た目が悪いというだけでなく、その部屋の資産価値を大きく低下させる原因となります。
入居者様からのクレームや退去の原因にもなりかねない、見過ごせない問題です。
木材や金属材がもろくなる
壁の内部に浸入した雨水は、建物の最も重要な骨格である柱や梁といった「構造躯体」を、内側から静かに、しかし着実に蝕んでいきます。
木材は湿気によって腐食し、その強度を著しく失います。
また鉄骨などの金属材も錆びてもろくなっていきます。
こうした構造躯体の劣化は建物の耐震性を大きく低下させ、万が一大きな地震が発生した際に、倒壊のリスクを飛躍的に高めてしまう非常に危険な状態なのです。
カビや害虫が発生する
湿った壁の内部は、カビやダニにとって絶好の繁殖環境となります。
発生したカビは胞子を空気中に飛散させ、アレルギーや喘息といった入居者様の深刻な「健康被害」を引き起こす原因となります。
また、湿って腐食した木材はシロアリの大好物です。
シロアリは建物の土台や柱を食い荒らし、知らず知らずのうちに建物の強度を根底から破壊していきます。
建物の老朽化につながる
雨漏りを放置することは、結果として建物全体の老朽化を著しく早めることに直結します。
構造躯体の腐食、断熱材の性能低下、そしてシロアリ被害。
これらの複合的なダメージによって建物の寿命は確実に縮まっていきます。
本来であれば適切なメンテナンスによって50年、60年と維持できたはずの大切な資産が、たった一箇所の雨漏りの放置によってその価値を大きく失ってしまうのです。
早期発見、早期対処こそが建物を守る最大の鉄則です。
ベランダの雨漏りを修理するのにかかる費用の相場
ベランダの雨漏り修理にかかる費用は、その原因箇所と修理方法によって大きく異なります。
以下に、原因別の主な修理内容とその費用相場をまとめました。
原因箇所 | 主な修理内容 | 費用相場(足場代別途) |
シーリングの劣化 | シーリング打ち替え工事 | 1,200円~3,000円/m |
外壁のひび割れ | ひび割れ補修(カット、シーリング充填) | 2,500円~5,000円/m |
床の防水層の劣化 | ウレタン防水工事(トップコート塗り替え) | 2,500円~7,000円/㎡ |
床の防水層の劣化 | FRP防水工事 | 5,000円~8,000円/㎡ |
排水溝(ドレン)の不具合 | ドレン交換・周辺補修工事 | 3万円~10万円/箇所 |
笠木の破損 | 笠木交換工事 | 6,000円~12,000円/m |
これらの工事は高所作業となるため、多くの場合、別途足場の設置費用(15万円~25万円程度)が必要となります。
そのため、ベランダの修理は、外壁全体の塗装工事など、他の足場が必要なメンテナンスと同時に行うのが、最も経済的で効率的です。
ベランダの雨漏りの修理に火災保険が適用されるケース
高額になりがちな雨漏りの修理費用ですが、その原因によっては、ご加入の「火災保険」が適用できる可能性があります。
ただし、適用にはいくつかの重要な条件があります。
雨漏りの原因が自然災害の場合
火災保険は、あくまで台風、強風、雪、雹(ひょう)といった「予測不能な自然災害」によって生じた損害を補償するものです。
例えば、「台風で笠木が飛んでしまい、そこから雨漏りした」「飛来物で外壁が破損し、雨水が浸入した」といったケースがこれに該当します。
一方で、経年劣化によるひび割れや、防水層の寿命といった、時間と共に必然的に起こる「老朽化」が原因の場合は、火災保険の対象外となります。
被害にあってから3年以内の場合
保険法により、保険金の請求権は損害が発生してから3年で時効となることが定められています。
つまり、3年以上前に発生した台風による被害については、原則として保険金を請求する権利がなくなってしまいます。
いつの災害による被害か分からない場合でも、専門の業者に調査を依頼することで原因を特定できることもあります。
修理費用が20万円以上の場合
多くの火災保険契約には、「免責金額」が設定されています。
これは、「損害が発生した際に、契約者が自己負担する金額」のことです。
例えば、免責金額が20万円に設定されている契約では、修理費用がその金額を上回らなければ、保険金は支払われません。
ご自身の契約内容を確認し、修理の見積金額が免責金額を超えているかどうかを確認する必要があります。
雨漏りの修理業者の選び方
雨漏りの修理は、その原因を正確に特定する「診断力」と、再発させない確実な「技術力」の両方が求められる、非常に専門性の高い工事です。
業者選びの失敗は、雨漏りの再発という最悪の事態を招きかねません。
信頼できる業者を選ぶためには、まず1社だけでなく、複数の専門業者から相見積もりを取ることが不可欠です。
これにより、修理方法や費用の相場感を把握できます。
その上で、見積書の内容が「一式」といった曖昧な表記ではなく、工事内容や使用材料が詳細に記載されているか、その会社のウェブサイトに、防水工事に関する豊富な施工実績が掲載されているか、そして、工事後の保証制度やアフターフォロー体制は整っているか、といった点を総合的に比較検討し、最も信頼できるパートナーを選びましょう。
ベランダの雨漏りは侮ってはいけない家のSOS
今回は、マンションやアパートのオーナー様を悩ませる「ベランダの雨漏り」について、その原因から対処法、そして予防策までを網羅的に解説しました。
雨漏りは、建物が発している「SOS」のサインです。そのサインを見逃さず早期に対処すること、そしてサインが出る前に予防的なメンテナンスを行うことが、オーナー様の大切な資産と入居者の安全な暮らしを守ることに繋がります。
株式会社カメダ総合塗装は、長年にわたり数多くの建物の防水・塗装工事を手がけてきた専門家集団です。
雨漏りの原因を的確に突き止める高度な診断技術と、建物の状態に合わせた最適な修繕プランのご提案、そして長期的な視点に立った計画的なメンテナンス計画の策定まで、オーナー様のあらゆるお悩みにワンストップでお応えします。
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