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外壁リフォームの費用相場はどのくらい?内訳や活用できる補助金を解説

外壁調査をおこなう業者

住宅の外観と耐久性を左右する外壁リフォームは、築年数が経過した住宅では避けて通れない大規模工事です。 

しかし、工法や材料によって費用は大きく変動します。 

 

本記事では、外壁リフォームにかかる費用や補助金制度を解説します。 

適切なリフォーム計画を立てたい方は、参考にしてください。 

 

目次

外壁リフォームが必要となる症状

外壁リフォームを検討するべきタイミングは、外壁が示す劣化症状から判断できます。

マンションやビルでは外壁の損傷が雨漏りや躯体の腐食につながり、修繕費の増加を招く可能性があります。

劣化を早期に発見することが建物の長寿命化に寄与します。

以下にて、外壁リフォームが必要となる主な劣化症状について解説します。

 

ひび割れ(クラック)による防水低下

外壁表面に発生するひび割れは代表的な劣化サインです。

幅0.3mmを超える構造クラックは雨水の浸入を許し、鉄筋腐食の原因となります。

微細なひびでも進行性があるため、早期の調査とリフォーム判断が求められます。

 

コーキング材の破断・硬化・隙間

サイディング外壁では目地に充填されたコーキング材の劣化が防水性を左右します。

硬化や亀裂、隙間の発生は雨水侵入リスクを高める状態です。

放置すると外壁材の反りや浮きにつながり、張り替えやカバー工法が必要になる場合もあります。

 

塗膜剥がれ・チョーキングの発生

塗膜が粉状に劣化するチョーキングは防水機能の低下を示す症状です。

紫外線によって塗膜が分解され、外壁材が直接ダメージを受ける状態に近づきます。

塗膜剥がれが進行すると内部への雨水浸入が起こりやすくなり、塗装リフォームが必要になります。

 

外壁材の反り・浮き・剥離

サイディングやタイル外壁では、素材自体が反ったり浮いたりする症状が見られることがあります。

構造的な負荷や吸水膨張が原因で発生し、外壁の耐久性を大きく損ないます。

重度の場合は部分張り替え、または全面リフォームが必要になるケースもあります。

外壁リフォームの費用相場

外壁リフォームの費用は、住宅の種類や工法、規模、外壁材によって異なります。 

住宅の種類 

費用相場 

一戸建て 

  • 外壁塗装:70万~120万円 
  • 外壁カバー工法:150万~250万円 
  • 外壁張り替え:200万~400万円 

マンション 

  • ベランダ側塗装:15万~30万円 
  • 開口部周り補修:5万~15万円 
  • 部分的な張り替え:20万~40万円 

 

詳しく見ていきましょう。 

一戸建て 

一戸建ての外壁リフォームは、工事の規模や選択する工法によって大きく費用が変動します。 

建物の状態や希望する仕上がりによって、最適な工法を選ぶことが大切です。 

 

工事方法別の標準的な費用相場は、下記のとおりです。 

 

種類 

費用相場 

外壁塗装 

70万~120万円 

外壁カバー工法 

150万~250万円 

外壁張り替え 

200万~400万円 

 

外壁の劣化状態がひどい場合は、下地処理や補修費用が加算されるため、費用が高額になる傾向があります。 

また、使用する塗料や外壁材のグレードによっても総額が変わる点に注意が必要です。 

 

マンション 

マンションの外壁リフォームは管理組合が主体となり、共用部分として実施されます。 

そのため、管理組合の規約により個人で実施できる範囲が限定されているのが特徴です。 

 

住戸ごとの負担額は10万~30万円程度が一般的です。 

一般的な大規模修繕工事とは別に、ベランダ側の壁面など、個人で改修可能な範囲での工事を実施できます。 

ただし、大規模修繕の一環で行われ、建物全体の総額は数千万円に達する場合もあります。 

 

管理組合との事前相談や承認が必要なケースもありますが、一般的な費用相場は、下記のとおりです。 

 

種類 

費用相場 

ベランダ側塗装 

15万~30万円 

開口部周り補修 

5万~15万円 

部分的な張り替え 

20万~40万円 

 

工事範囲が限定されるため、一戸建てと比較すると費用は抑えられる傾向にあります。 

坪単価での計算方法 

外壁リフォームの費用を概算する際には坪単価が役立ちます。 

一般的な坪単価の目安は、下記のとおりです。 

 

工事 

坪単価 

1坪あたり) 

一般的な塗装工事 

46万円 

カバー工法 

68万円 

張り替え工事 

710万円 

 

これらの単価に建物の総面積を掛けることで、おおよその費用を把握できます。 

たとえば、延床面積40坪の一戸建てでカバー工法を行う場合、費用は120万~240万円程度が目安です。 

この計算方法を用いれば、リフォーム費用の全体像を把握しやすくなるでしょう。 

外壁リフォームの種類別のメリット・デメリット 

外壁リフォームにはおもに3つの工法があります。 

 

種類 

メリット 

デメリット 

外壁塗装 

  • 費用が比較的安価 
  • 工期が短い 
  • 廃材が少ない 
  • 自由度が高い 
  • 長持ちする 
  • 耐久性は1015年程度 
  • 下地の状態が悪いと効果が限定的 
  • 価格差が大きい 
  • 天候に左右されやすい 
  • 建物の断熱性能は向上しない 

外壁カバー

工法 

  • 既存の外壁を撤去せず施工可能 
  • 断熱性能が向上する 
  • 工期は23週間程度 
  • 新築のような仕上がりが期待できる 
  • 耐久性が比較的長い 

 

  • 費用が高め 
  • 開口部周りの処理が複雑 
  • 下地の補強が必要な場合がある 
  • すべての外壁材に適用できるわけではない 
  • 耐震性が低下する可能性がある 

外壁張り替え 

  • 新築同様の性能が得られる 
  • 断熱材の完全な入れ替えが可能 
  • 耐久性が20年以上と長い 
  • 建物の資産価値が向上する 
  • 下地から全面的な改修が可能 
  • 費用が高額 
  • 工期が長い 
  • 工事中の騒音・振動が大きい 
  • 廃材処理費用が必要 
  • 一時的な転居が必要な場合もある 

 

それぞれのメリット・デメリットを解説します。 

外壁塗装 

外壁のローラー塗装をおこなう様子

 

外壁塗装は、一般的な外壁リフォーム方法のひとつです。 

既存の外壁を活かしながら、美観の回復と保護を行えます。 

費用対効果が高く、工期も比較的短いのが特徴です。 

メリット 

デメリット 

  • 費用が比較的安価 
  • 工期が短い 
  • 既存の外壁を活かせるため、廃材が少ない 
  • 色やデザインの自由度が高い 
  • 定期的なメンテナンスで長持ちする 
  • 耐久性は1015年程度 
  • 下地の状態が悪いと効果が限定的 
  • 塗料の種類によって価格差が大きい 
  • 天候に左右されやすい 
  • 建物の断熱性能は向上しない 

 

外壁塗装のメリットは、コストパフォーマンスの高さと工期の短さにあります。 

15年以内の比較的新しい建物や、外壁の基礎部分に大きな損傷がない場合に効果を発揮します。 

 

一方で、耐久性が低く、天候に左右されやすいなどのデメリットもあるので注意が必要です。 

塗料の種類にもよりますが、1015年ごとに再塗装が必要です。 

 

また、塗装は外壁の表面を整える工法なので、構造的な劣化には対応できません。 

下地の劣化を補修したい場合には向いていないでしょう。 

これらのデメリットは、適切な工法選択と施工によって最小限に抑えられます。 

 

外壁カバー工法 

カバー工法は、既存の外壁を残したまま、その上から新しい外壁材を重ねる工法です。 

断熱性能の向上と工期の短縮を両立できるのが特徴で、近年注目を集めています。 

メリット デメリット 
  • 既存の外壁を撤去せず施工可能 
  • 断熱性能が向上する 
  • 工期は23週間程度 
  • 新築のような仕上がりが期待できる 
  • 耐久性が1520年と比較的長い 

 

  • 費用が高め 
  • 開口部周りの処理が複雑 
  • 下地の補強が必要な場合がある 
  • すべての外壁材に適用できるわけではない 
  • 耐震性が低下する可能性がある 

 

カバー工法の大きな魅力は、既存の外壁を撤去せずに新しい外装材を施工できる点です。 

これにより、工期の短縮と廃材の削減が可能です。 

とくに断熱性能の向上を目指す場合や、工期を短縮したい場合に適しています。 

 

一方で、建物の状態や構造によっては適用できない場合があります。 

工事前には必ず専門家による入念な調査が必要です。 

 

また、既存の外壁の上に新しい外壁材を加えるため、建物全体の重量が増します。 

耐震性が低下する可能性があるため、注意が必要です。 

 

既存外壁の状態によっては施工できない場合もあるため、事前の確認が大切です。 

 

関連記事:マンションの大規模修繕工事とは?業者の種類や選定方法を紹介

外壁張り替え 

外壁の張り替えは、もっとも本格的な改修方法です。 

既存の外壁を完全に撤去し、新しい外壁材に交換すれば、建物の性能を大きく向上させられます。 

 

メリット デメリット 
  • 新築同様の性能が得られる 
  • 断熱材の完全な入れ替えが可能 
  • 耐久性が20年以上と長い 
  • 建物の資産価値が向上する 
  • 下地から全面的な改修が可能 
  • 費用が高額 
  • 工期が長い 
  • 工事中の騒音・振動が大きい 
  • 廃材処理費用が必要 
  • 一時的な転居が必要な場合もある 

 

大規模な工事となりますが、建物の性能を根本から改善できる工法です。 

下地から全面的な改修が可能なため、住宅の寿命を大きく延ばせるメリットがあります。 

30年以上経過した建物や、大規模な性能向上を目指す方におすすめです。 

 

ただし、工期や費用面での負担が大きくなるので注意しましょう。 

とくに生活への影響が大きいため、家族全員での話し合いと合意が必要です。 

外壁リフォーム費用の内訳 

外壁リフォームの費用の内訳を理解することは、見積もりの妥当性を判断する上で大切です。 

 

内訳 

費用相場 

足場設置費用 

  • 足場材のレンタル料:1520万円 
  • 組立・解体作業費:1015万円 
  • メッシュシート代:35万円 
  • 安全対策費用:25万円 

下地処理・補修費用 

  • ひび割れ補修:1ヶ所あたり5,00010,000 
  • 下地調整:1平方メートルあたり2,0004,000 
  • 防水処理:1030万円 
  • 断熱材の補修:2050万円 

 

塗装・張り替え工事費用 
  • 外壁塗装:50万~150万円 
  • 外壁張り替え:150万~400万円 

諸経費・保証費用 

510万円 

 

代表的な費用の内訳を解説します。 

足場設置費用 

 

安全な工事のために不可欠な足場設置には、建物の規模や形状に応じた費用が発生します。 

足場は作業員が高所で作業を行う際の安全性を確保するだけでなく、塗装や外壁材の取り付け作業の精度を高める役割を果たします。 

 

一般的な2階建て住宅における足場関連の費用内訳は、下記のとおりです。 

 

内訳 

費用相場 

足場材のレンタル料 

1520万円 

組立・解体作業費 

1015万円 

メッシュシート代 

35万円 

安全対策費用 

25万円 

 

費用は、建物の高さや形状、敷地条件によって変動します。
工期が延長になると、足場のレンタル期間も延びるため、追加費用が発生する可能性があります。 

 

なお、屋根工事などほかの工事と同時に行えば、足場費用を共有できるため、全体のコストを抑えられるでしょう。 

 

関連記事:外壁塗装の足場の費用相場はいくらなのか?注意点も解説

下地処理・補修費用 

外壁の長期的な耐久性を確保するためには、適切な下地処理と補修が不可欠です。 

外壁塗装や張り替え工事を行う前に、ひび割れや剥がれた部分を補修し、防水性や耐久性を高めます。 

 

下地処理・補修の費用内訳は、下記のとおりです。 

 

内訳 

費用相場 

ひび割れ補修 1ヶ所あたり:5,00010,000 
下地調整 1平方メートルあたり:2,0004,000 
防水処理 1030万円 
断熱材の補修 2050万円 

 

築年数の古い建物は、予想以上の補修が必要となる場合があります。 

そのため、余裕を持った予算計画を立てることが重要です。 

 

塗装・張り替え工事費用 

外壁リフォームの中心となる塗装や張り替えには、材料費と施工費が含まれます。 

使用する材料の品質や工法によって、費用は大きく変動します。 

 

一般的な塗装工事の費用単価は、下記のとおりです。 

 

内訳 

費用相場 

外壁塗装 

50万~150万円 

外壁張り替え 

150万~400万円 

 

高機能な塗料を使用する場合は、標準的な費用よりも2030%程度高くなる可能性があります。 

 

諸経費・保証費用 

外壁リフォームには、直接的な工事費用以外にもさまざまな諸経費が発生します。 

諸経費の相場は5万~10万円程度です。 

 

廃材処理費用やアフターフォローに関する保証費用は、見積もりに含まれる場合が多いです。 

とくに廃材処理は、外壁張り替えの際に発生する不要な外壁材を適切に処分するために必要となります。 

 

また、保証費用は工事後のトラブルを防ぐために重要です。 

保証期間が長い業者を選ぶことで、工事後の安心感が得られるでしょう。 

 

外壁材の種類と費用比較 

外壁リフォームでは、使用する外壁材の選択が費用や仕上がりに大きな影響を与えます。 

 

種類 

費用相場 

1平方メートルあたり) 

サイディングボード 

3,00010,000 

モルタル外壁 

6,00012,000 

タイル外壁 

10,00020,000 

そのほかの外壁材 

8,00015,000 

 

代表的な外壁材の特徴と費用を解説します。 

サイディングボード 

サイディングボードは、日本の住宅で一般的に使用されている外壁材です。 

費用相場は1平方メートルあたり3,00010,000円で、窯業系と金属系の2種類があり、特徴が異なります。 

 

窯業系サイディングは、セメントを主成分とした板材で、レンガ風やタイル風などデザインが豊富です。 

耐火性が高く、防火地域にも適しています。 

費用は比較的安価ですが、約10年ごとに再塗装やシーリングの補修が必要です。 

 

金属系サイディングは、アルミやガルバリウム鋼板を使用した軽量素材で、耐久性が高くメンテナンスが少ないのが特徴です。 

ただし、窓周りや接合部分に劣化が生じる場合があります。 

 

関連記事:サイディング外壁の補修とは?補修目安や費用も解説

モルタル外壁 

モルタル外壁は、セメントと砂を混ぜた素材を下地に塗り、仕上げを吹き付けたりコテで塗ったりする外壁のことを指します。 

費用相場は、1平方メートルあたり6,00012,000円です。 

施工には手間がかかるため近年は減少傾向にありますが、独特の重厚感や風合いが魅力です。 

 

モルタルはひび割れが生じやすく、防水性を保つために定期的な塗り替えが必要になります。 

また、断熱性を向上させるためには、別途断熱材を組み合わせることが推奨されます。 

タイル外壁 

タイル外壁は、デザイン性が高く、高級感のある仕上がりが特徴です。 

1平方メートルあたりの費用相場は、10,00020,000円です。 

 

耐久性が高く、30年以上にわたって劣化しにくいメリットがあります。 

また、汚れがつきにくく、雨水で自然に汚れを落とすセルフクリーニング効果もあります。 

 

一方で、初期費用が高く、施工には熟練した技術が求められるのがデメリットです。 

そのほかの外壁材 

そのほかの外壁材は、下記のとおりです。 

 

種類 

特徴 

費用相場 

1平方メートルあたり) 

木材 

  • 自然素材の温かみを感じられる 
  • 木目が美しいため、デザイン性を重視する方に人気 

10,00015,000 

ガルバリウム鋼板 

  • 軽量で耐久性が高く、サビに強い 
  • モダンなデザインに仕上げられる 
  • コストパフォーマンスも優れている 

5,0008,000 

ALC 

(軽量気泡コンクリート) 

  • 火に強く断熱性が高い 
  • 軽量で施工しやすい 
  • 定期的なメンテナンスが必要 

8,00012,000 

 

外壁材を選ぶ際には、建物の構造や予算、求めるデザインや性能を総合的に考慮する必要があります。 

迷った場合は、施工業者に相談し、専門的なアドバイスを受けましょう。 

 

費用を抑えるためのポイント 

ここでは、外壁リフォーム費用を抑えるためのポイントを解説します。 

 

  • 適切な時期の見極め 
  • 複数業者の見積もり比較 
  • 助成金・補助金の活用 
  • 耐久性の高い材料を選定 
  • 工事の同時施工によるコスト削減 

 

詳しく見ていきましょう。 

適切な時期の見極め 

外壁リフォームの費用を抑えるためには、工事の時期選びが重要です。 

早期発見・早期対応により、大規模な修繕を防げます。 

劣化が進んでしまうと、補修費用が高額になる場合があるので注意しましょう。 

 

また、季節や天候も、工事の品質と費用に大きく影響を与える要素となります。 

一般的に、下記のような時期選びがコスト削減につながるでしょう。 

 

  • オフシーズン(冬季)の工事計画 
  • 定期的な点検による早期発見 
  • 梅雨時期を避けた工事の実施 
  • 屋根工事などほかの工事との同時進行 
  • 劣化が進む前の予防的なメンテナンス 

 

工事の時期を柔軟に調整できる場合は、施工会社の閑散期を狙うことで、追加の割引が適用される可能性もあります。 

定期的な点検を行い、計画的な工事の実施で、突発的な高額修繕を防げるでしょう。 

 

複数業者の見積もり比較 

電卓

同じ工事内容でも、業者によって価格が異なる場合があります。 

そのため、1社の見積もりだけで決めるのではなく、複数の業者から見積もりを取ることが大切です。 

 

とくに下記の点を比較すれば、より納得のいく業者を選べます。 

 

  • 施工費用の内訳 
  • 使用する塗料や外壁材の種類 
  • 保証内容とアフターフォローの有無 

 

費用だけでなく、実績や口コミも確認し、信頼できる業者を選びましょう。 

助成金・補助金の活用 

外壁リフォームには、国や自治体が提供する補助金や助成金を活用できる場合があります。 

おもな制度は下記のとおりです。 

 

  • 長期優良住宅化リフォーム推進事業 
  • 断熱リフォーム支援事業による助成金 
  • 次世代省エネ建材支援事業 
  • 自治体独自の助成金 

 

各自治体が提供する補助金制度もあるため、リフォーム計画の前に市町村のホームページで確認しましょう。 

また、補助金の申請には条件や書類が必要な場合が多いため、事前に要件を把握しておくことが大切です。 

 

関連記事:外壁塗装の剥がれはなぜ生じる?補修にかかる費用相場も紹介

耐久性の高い材料を選定 

初期費用が高くても、耐久性の高い材料を選ぶことで、再塗装や補修の頻度を減らしてトータルコストを抑えることが可能です。 

 

たとえば、窯業系サイディングはリーズナブルでデザインも豊富ですが、10年ごとに塗装やシーリングの補修が必要です。 

一方、タイル外壁や金属系サイディングは初期費用が高めですが、メンテナンスの頻度が少なく、長期間にわたり美観を保てます。 

 

塗料を選ぶ際にも、耐用年数が長いフッ素系塗料や光触媒塗料を選ぶことで、再塗装の周期を伸ばせます。 

初期費用は高額ですが、1020年のメンテナンスフリーが期待できるため、長期的なコスト削減につながるでしょう。 

 

工事の同時施工によるコスト削減 

外壁リフォームと同時に、屋根の塗装や修繕を行うことで、足場設置費用を削減できます。 

 

外壁塗装と屋根塗装を個別に行うと、それぞれに足場設置費用がかかります。 

同時施工であれば1回分の足場設置費用で済むため、大幅なコスト削減が期待できるでしょう。 

 

また、外壁工事と雨樋の修理やサッシ周りの補修を組み合わせるのも効果的です。 

同時施工を計画する際は、業者に複数の工事内容を伝え、総合的な見積もりを依頼しましょう。 

 

外壁リフォームで活用できる助成金・補助金 

助成金

外壁リフォームの際に活用できる補助金制度は、下記のとおりです。 

 

  • 長期優良住宅化リフォーム推進事業 
  • 断熱リフォーム支援事業による助成金 
  • 次世代省エネ建材支援事業 
  • 介護・バリアフリーリフォーム補助金 

 

ここでは、制度の詳細を解説します。 

 

長期優良住宅化リフォーム推進事業 

国土交通省が実施する支援制度で、住宅の長寿命化に資するリフォームを支援します。 

外壁リフォームと合わせて断熱改修などを行う場合に活用できます。 

 

補助金額や条件などの概要は、下記のとおりです。 

 

項目 

詳細 

補助金額 

補助対象リフォーム工事費合計の3分の1 

上限:80万~210万円 

おもな条件 

  1. 補助事業者に工事を依頼 
  1. 事前インスペクション(住宅性能評価)を実施 
  1. リフォーム後、劣化対策・耐震性・省エネルギー性の基準をクリア 
  1. 特定工事(三世代同居改修、子育て対応、防災性能向上工事など)を含むリフォームを実施 

対象工事例 

外壁の張り替え(断熱材使用)、耐震補強、バリアフリー改修、子育て環境整備、防災対策工事 

対象外の工事 

単なる設備交換や意匠目的のリフォーム、内装変更など 

参考:国土交通省 住宅局 住宅生産課 

 

補助金の申請には、事前のインスペクションと計画作成が必要です。 

工事後に性能基準を満たすことを確認し、補助金を受け取ります。 

 

制度の活用で、費用を抑えながら性能向上を図れるため、快適で安心な住まいを実現できます。 

断熱リフォーム支援事業による助成金 

断熱リフォーム支援事業は、高性能な断熱建材を用いたリフォームによって、省エネ効果を高める住宅改修に助成金が支給される制度です。 

住宅の断熱性を向上させることで光熱費を削減し、環境負荷の軽減が目的となっています。 

 

おもな概要は、下記のとおりです。 

 

項目 

詳細 

対象リフォーム 

高性能断熱材や窓、ガラスを使用したトータル断熱リフォーム、または居室中心の断熱リフォーム 

補助金額 

戸建住宅:1住戸あたり上限120万円 

(補助対象費用の3分の1 

集合住宅:1住戸あたり上限15万円 

追加補助 

家庭用蓄電システム(20万円)、蓄熱設備(20万円)、熱交換型換気設備(5万円)などを同時導入した場合 

条件 

個人または法人が所有する常時居住用住宅が対象 

(賃貸住宅含む) 

参考:公益財団法人 北海道環境財団 

 

助成金の活用で断熱性能を向上させながら、工事費用の一部を補助金でまかなうことが可能です。 

また、追加設備の導入で、より高い省エネ効果を得られるメリットもあります。 

 

次回公募は20251月下旬を予定しています。 

次世代省エネ建材支援事業 

次世代省エネ建材支援事業は、住宅の断熱性能を向上させるリフォームを対象に補助金を支給する制度です。 

省エネルギー効果の高い住まい作りを推進し、環境負荷の軽減を目指しています。 

 

項目 詳細 
補助金額 リフォーム内容に応じて上限125万~400万円 
対象工事 
  • 断熱性能のある製品を使用した外壁や内壁、窓のリフォーム 
  • 制度に登録された断熱材や外壁材を用いた張り替えやカバー工法が対象となる 
支給条件 本制度に登録された製品を使用すること 

 

次世代省エネ建材支援事業を活用すれば、リフォーム費用を抑えつつ、快適でエコな住環境を実現できるでしょう。 

参考:令和6年度 次世代省エネ建材の実証支援事業

 

外壁リフォーム業者の選び方 

ここでは、外壁リフォーム業者の選び方を解説します。 

 

  • 信頼できる業者選びのポイント 
  • 悪徳業者の見分け方 
  • 契約時のチェック事項 
  • アフターフォロー体制 

 

チェックしていきましょう。 

 

関連記事:外壁塗装の悪徳業者に注意!手口や対処法を徹底解説

信頼できる業者選びのポイント 

信頼できる業者を選ぶ際には、実績や評判を確認しましょう。 

過去の施工事例を公開している業者であれば、仕上がりのイメージや技術力を確認できます。 

口コミやレビューも重要な判断材料ですが、すべてを鵜呑みにするのではなく、多方面から情報を集めることが重要です。 

 

また、業者が資格や認証を持っているかどうかも確認しておくと安心です。 

一級塗装技能士や建築士などの資格は、施工技術の高さの裏付けになります。 

塗料メーカーから認定を受けている施工店なら、メーカーの製品に最適な施工方法を熟知しているため、不安なく依頼できるでしょう。 

 

悪徳業者の見分け方 

悪徳業者を避けるためには、下記の特徴に注意する必要があります。 

 

  • 訪問販売での勧誘:突然訪問し「外壁が傷んでいる」と不安を煽る業者には注意が必要 
  • 不明瞭な見積もり:「一式〇〇円」といった曖昧な見積もりを出す業者は危険 
  • 契約を急がせる:特別価格やキャンペーンを理由に契約を急かす業者に注意 

 

こうした業者は、詳細な説明を避ける傾向があり、トラブルにつながりやすいです。 

 

契約時のチェック事項 

業者と契約する際には、見積書の内容を詳しく確認しましょう。 

どのくらいの費用がかかるのか、材料や作業内容が明確に記載されていることが大切です。 

「塗装一式」や「諸経費」などの曖昧な項目が含まれていたら、内訳を具体的に尋ねましょう。 

 

また、工事のスケジュールも確認する必要があります。 

工事の開始日と終了日が明確に記載されているか、天候などで工期が延びた場合の対応方法も説明を求めましょう。 

 

契約書には、追加費用の条件が記載されているかも確認してください。 

条件が曖昧な場合は、トラブルになる可能性があるため、事前に確認しておくことが重要です。 

下記は契約時にチェックするべき要素のまとめです。

 

見積書の内容に関するチェック

  • 「一式」ではなく、作業内容が具体的に明記されている
  • 使用する塗料・外壁材のメーカー名・製品名・グレードが記載されている
  • 塗布回数(通常3回塗り)が仕様として明記されている
  • 養生・洗浄・下地補修の範囲と単価が書かれている
  • 足場費用の内訳(架設・解体・メッシュシート等)が明記されている
  • 廃材処理費用の費目が明確
  • 諸経費の内容がわかる(運搬費・管理費など)

 

工事範囲・仕様に関するチェック

  • 施工範囲(外壁全体・開口部周りなど)が図面・写真付きで明示されている
  • 下地の劣化が想定より大きい場合の追加費用条件が明記
  • 塗装・補修方法が工法名付きで説明済み
  • マンションの場合、専有部分・共用部分の範囲が明確
  • シーリング工事の範囲(打ち替え/増し打ち)が明記されている

 

工期・スケジュールに関するチェック

  • 着工日・完工予定日が明示
  • 雨天による工期延長の扱いが契約書に記載
  • 作業時間帯の取り決め(9時~17時など)が設定されている
  • 近隣挨拶の実施有無が確認できる

 

保証内容に関するチェック

  • 工事保証の期間(例:5年・10年)が記載
  • 保証の内容(塗膜の剥がれ・色あせ等)が明確
  • 保証の対象外(自然災害・経年劣化等)が明示
  • アフターフォローの点検周期(1年・3年など)が書かれている

 

追加費用に関するチェック

  • 「追加費用が発生する条件」が文書で示されている
  • 事前に説明された補修項目と契約内容が一致している
  • 見積もり金額が税込価格で表記されている

 

会社の信頼性に関するチェック

  • 建設業許可など、必要な資格・許可証を保有
  • 現場管理者が誰か明確
  • 過去施工事例を確認済み
  • 保険加入(請負業者賠償責任保険など)が確認できる

 

契約書の形式・書類に関するチェック

  • 契約内容・金額・支払条件が明確
  • 着手金・中間金・完工金の支払いスケジュールが書かれている
  • クーリングオフ適用外である旨の説明を受けている(工事契約のため)
  • 契約書・見積書・仕様書の3点セットが揃っている

 

アフターフォロー体制 

外壁リフォームは施工後のメンテナンスやトラブル対応が必要になる場合があります。 

そのため、アフターフォローが充実している業者を選ぶことが大切です。 

 

信頼できる業者は、工事後に定期点検を提供していることが多いです。 

この点検では、外壁の状態や塗装の劣化具合を確認し、必要に応じて補修を行います。 

また、保証期間内に発生した不具合には、無償で対応してもらえるか確認しておきましょう。 

 

さらに、連絡が取りやすい業者かどうかも大切な要素です。 

施工後に何か問題が発生した際、迅速に対応してもらえる業者であれば安心です。 

 

外壁リフォームに関するよくある質問 

ここでは、外壁リフォームに関するよくある質問を紹介します。 

 

  • リフォーム期間はどのくらいかかる? 
  • 近隣への配慮はどうするべき? 
  • リフォーム中の生活への影響は? 

 

同じ疑問を抱いている方は、参考にしてください。 

リフォーム期間はどのくらいかかる? 

外壁リフォームの工期は、工事の内容や建物の規模、天候などによって異なります。 

一般的な外壁塗装の場合は、12週間程度が目安です。 

 

外壁の張り替えやカバー工法を行う場合は、24週間程度かかることが多いです。 

作業範囲が広がるため、外壁塗装よりも工期が長くなる傾向があります。 

 

また、天候によっては作業が中断し、工期が延びる可能性もあるでしょう。 

そのため、余裕を持った計画を立てることが大切です。 

近隣への配慮はどうするべき? 

外壁リフォームでは、足場の設置や高圧洗浄、塗装作業などで騒音や粉じんが発生する場合があります。 

こうした工事が近隣住民に与える影響を最小限に抑えるため、下記のような配慮を心掛けましょう。 

 

  • 工事開始前に挨拶を行い、工事内容や期間を伝える 
  • 騒音が発生する作業を近隣の生活に配慮した時間帯に行うように調整する 
  • 塗料や粉じんが飛散しないように、養生シートの設置や清掃を徹底してもらう 

 

信頼できる業者であれば、近隣対応にも慣れており、トラブルを未然に防ぐためのサポートをしてくれる場合が多いです。 

リフォーム中の生活への影響は? 

外壁リフォーム中も、基本的には室内での日常生活を送ることが可能です。 

ただし、いくつかの点で影響が出る場合があります。 

 

  • 窓の開閉が制限される日がある 
  • 足場の設置や高圧洗浄などの作業では一定の騒音が発生する 
  • 塗装作業中は塗料の臭いが気になる場合がある 

 

事前に業者とスケジュールや対策を相談し、快適に工事期間を乗り切れるでしょう。 

工事中の騒音・臭いへの対策

外壁リフォームでは、足場組立の衝撃音や工具使用時の作業音が発生しやすく、近隣や入居者への配慮が不可欠です。

事前に工事スケジュールを共有し、特に音が大きい時間帯を明確に示すことでトラブルを避けられます。

また、外壁塗装では塗料による臭いが発生するため、低臭タイプの外壁塗料を採用することが有効です。

換気ルートの事前確認や作業範囲の限定により、臭気の被害を最小限に抑えられます。

管理会社やオーナーは、施工業者と連携しながら入居者の生活への影響を軽減する体制を整えておくことが重要です。

外壁リフォーム後のメンテナンスと耐用年数

外壁の塗装作業をおこなう業者

外壁リフォーム後は長期的な品質を維持するため、計画的な点検が欠かせません。

マンションやビルは部位ごとに劣化速度が異なるため、素材や施工方法に応じたメンテナンス計画が必要です。

以下にて、外壁の種類ごとの耐用年数と、維持管理のポイントについて解説します。

 

外壁塗装の耐用年数と点検サイクル

外壁塗装の耐用年数は外壁塗料の種類によって異なります。

シリコン塗料は約10~13年、フッ素塗料は約15~18年が一般的です。

塗膜劣化は防水性低下につながるため、3~5年ごとの定期点検が推奨されます。

 

サイディング外壁のコーキング管理

サイディング外壁では、目地のコーキング材が防水性維持の重要な役割を担います。

紫外線の影響を受けやすく、5~10年で硬化や破断が進むことがあります。

コーキングの打ち替えや補修を適切なタイミングで行うことで、外壁材自体の劣化を防げます。

 

カバー工法・タイル外壁の劣化ポイント

外壁カバー工法やタイル外壁は表面材の耐久性が高いものの、下地が劣化する場合があります。

外壁材の浮きや剥離が初期症状としてあらわれるため、定期的な打診調査が効果的です。

早期発見により、大規模修繕の発生リスクを抑制できます。

 

メンテナンス計画の立て方と注意点

外壁の種類や施工方法に応じて、3~5年周期の点検を基準とすると劣化の早期発見につながります。

管理会社やオーナーは、外壁材の特性を把握し、長期修繕計画に反映させることで、資産価値の維持に直結します。

まとめ:外壁リフォームの費用を把握して準備を整えよう 

外壁リフォームは、建物の耐久性や美観を保つために欠かせない重要な工事です。 

リフォームを成功させるためには、費用の相場や工事期間、近隣対応などを事前に把握し、準備を整えることが必要です。 

 

累計成功実績数8,500棟を誇る株式会社カメダ総合塗装では、お客様のご要望に合わせた丁寧なリフォームプランを提案します。 

また、工事前後のサポート体制も万全ですので、安心してお任せください。 

 

外壁リフォームに関するご相談や見積もりは、気軽にお問い合わせください。